2021/09/01
ミシン

ミシンを使うようになって、ふと、思い出す事があります。
遠い昔、まだ、子供たちが小さかった頃に読んだ、灰谷健次郎さんの「天の瞳」の中の一節で、
「とんかちも釘も、木もお前の手もみんな友達どうしやと思うてみい」
と、釘を上手に打てるようになりたい倫太郎という男の子に、おじいちゃんがそう伝えてる場面です。
ミシンにも、それぞれ個性があり、それを無視してなんでも同じペースで扱うのではなく、
力加減や手の動かし方を、そのミシンや生地に合わせて気持ちを向けて変えてみると、
綺麗に縫えるように感じます。
まさに、倫太郎のおじいちゃんが言うように、気持ちを傾けて仲良くなるように接すると
本当にミシンが応えてくれる気がします。
自分の手となり思うように綺麗に縫うためには、
自分自身の気持ちを整えて向き合う事も大切です。
気持ちを整えて、集中し、丁寧に向き合う事が、物を作るという作業には必要なんだと、
当たり前の事を改めて気付かされます。
もっと綺麗に、そして、様々な物を縫えるようになりたいという思いには終わりはなく、
ものづくりは、自分との闘いの日々でもあるんだと思います。
一台一台のミシンの個性を理解し、そして用途に応じて使い分けて製作し、時には悪戦苦闘しながらも、
あきらめずに綺麗に仕上げてくれたものを見ると、
うちのスタッフのみんなは、ミシンに耳を傾けて仲良くなってくれているんだなぁと思います。
毎日、今日も、一生懸命、どんな物もその先に人がいる事をわすれずに、
スタッフ一同ものづくりと丁寧に向き合っています。
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