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白い鹿

鹿

2017年から石巻でリボンアートフェスティバルを開催するようになってから、
ずっと会いたいと思っていたホワイトディア―。

幸福のシンボル、神使、神獣とされるその白い鹿の凛とした姿と、
澄み切った空の青さ、海からの風、それらを肌で感じ、
やっと会えたことで、胸にこみあげるものがありました。

このホワイトディア―は、旅の出発地の瀬戸内海の犬島を向いて立っているそうです。
私の妹家族は、その犬島と同じ瀬戸内海の直島に住んでいます。
直島も犬島も、瀬戸内海のアートの島と言われています。
草間彌生さんのかぼちゃがあることでも知られている直島です。

子どもたちが小さい時は、車で12,13時間かけて、妹家族に会いに行ってました。
子どもたちが大きくなり、行く機会も減り、そしてコロナ禍となり、
なかなか会う事が出来なくなり、寂しく思ってました。

そんな妹たちのいる瀬戸内海を向いているホワイトディア―を見ていると、
直島から遠く離れた宮城の地で、妹たちとの繋がりを感じ、
みんなの幸せを願わずにはいられませんでした。

今、当たり前にある事は当たり前なのではなく、
その事に感謝して生きていかなければならないと、
震災後のこの石巻で開催されているリボンアートフェスティバルに足を運んで、
改めて気付かされました。

この澄み切った空の青さの中に、白さが際立つ綺麗な鹿をみて、
そんなことを思わずにはいられない時間でした。



厚い物から薄い物まで

工場②

トラックシートを製作するのに使う生地などは、ウェルダーという熱溶着機で、
幅を繋いで、長さも何十メートルという大きさのものを作る場合もあり、大きさに比例して
重量も増えていきます。

その重いシートをミシンで縫うのも、右手で縫いつつ左手ではその生地を持って送ってあげなければ
綺麗に縫う事も出来ないため、一人で縫うことはとても大変なこととなります。

それでも、毎日コツコツと縫うことに慣れてくると、手の使い方のコツをつかみ
ミシンの扱いも上手になり、気が付けば弊社の女性スタッフ達も一人で綺麗に
仕上げることが出来るようになりました。

見ていても、とても重そうなシートを上手にミシンと生地を扱って、綺麗に縫い上げて
いってくれています。

前向きなスタッフのみんなは、最初は悪戦苦闘しながらも、どんなものでも
諦めずに挑戦し続け、どんどん作れるものが増えていっています。

重量物とは真逆な薄い生地で製作する大型ターフの依頼も、
薄すぎて生地同士が滑り、しわがよってしまったりと、扱うのにコツが必要で、
重い生地とは違う難しさがあります。

裁断も機械ではなく、型を起こしては手作業で一枚づつカットしていきます。
そのため、大きなものになると、ほんの少しのズレが縫い合わせるうちに
大きな歪みとなってしまうため、慎重に裁断をしていかなければなりません。

そんな一つ一つの工程をコツコツと手作業で仕上げていき、薄物用のミシンを
上手く操り、大きなターフが出来上がりました。

弊社には、大きな重たいものから、薄い生地で製作するものまで、
様々なご依頼を頂きます。
それをスタッフみんなでコツコツ丁寧に仕上げています。
今までも、そしてこれからも。。。


招き猫

ネコ①

うちの雄ネコ10歳は、丁度震災の前に迷い込んで来た野良猫です。
なので、独立して仕事を始めた頃から我が家の一員になりました。
仕事の帰りが遅くなり、まだ子供が小学生だった時、お留守番の時間が長くなった子どもたちの
遊び相手でもあり、まだちょっとお留守番が不安だった息子にとっては、
心強い仲間でもありました。

息子も大きくなり、ネコだけのお留守番の時間も増え、
それなら一匹よりも二匹いたほうが寂しくないだろうと思い、また保護猫を譲渡してもらい、
そして今は三匹に増えました。

長男が巣立って、なんとなく静かになった我が家ですが、今は三匹が、ご飯を待ちながら
お留守番しています。

この10年、山あり谷あり色々な事がありましたが、
ずっとそばで家族を見守ってくれて、癒してくれたり、
落ち込んだ家族がいればそっと隣にきて寄り添って励ましてくれたり、
家族みんなとわちゃわちゃと騒ぎ合ったりと、
いつでもどんな時もネコたちと共に時間を過ごしてきました。

そして、何よりここまで仕事を続けてこれたのも、
実は、陰ながらいつも力をくれていた三匹のネコたちのお蔭なのかもしれないなぁと、
床に伸びている姿を眺めながら、そんな思いにふけったり・・・

ひょっとしたら君たちは、招き猫だったのかな???
ネコ②


ミシン

ミシン②

ミシンを使うようになって、ふと、思い出す事があります。

遠い昔、まだ、子供たちが小さかった頃に読んだ、灰谷健次郎さんの「天の瞳」の中の一節で、
「とんかちも釘も、木もお前の手もみんな友達どうしやと思うてみい」
と、釘を上手に打てるようになりたい倫太郎という男の子に、おじいちゃんがそう伝えてる場面です。

ミシンにも、それぞれ個性があり、それを無視してなんでも同じペースで扱うのではなく、
力加減や手の動かし方を、そのミシンや生地に合わせて気持ちを向けて変えてみると、
綺麗に縫えるように感じます。
まさに、倫太郎のおじいちゃんが言うように、気持ちを傾けて仲良くなるように接すると
本当にミシンが応えてくれる気がします。

自分の手となり思うように綺麗に縫うためには、
自分自身の気持ちを整えて向き合う事も大切です。
気持ちを整えて、集中し、丁寧に向き合う事が、物を作るという作業には必要なんだと、
当たり前の事を改めて気付かされます。

もっと綺麗に、そして、様々な物を縫えるようになりたいという思いには終わりはなく、
ものづくりは、自分との闘いの日々でもあるんだと思います。

一台一台のミシンの個性を理解し、そして用途に応じて使い分けて製作し、時には悪戦苦闘しながらも、
あきらめずに綺麗に仕上げてくれたものを見ると、
うちのスタッフのみんなは、ミシンに耳を傾けて仲良くなってくれているんだなぁと思います。

毎日、今日も、一生懸命、どんな物もその先に人がいる事をわすれずに、
スタッフ一同ものづくりと丁寧に向き合っています。